ベトナムが暗号資産(仮想通貨)を法的に認め、取引所の試験運用に着手したことで、東南アジアのデジタル金融市場の中心地として浮上する可能性が高まっている。約1億人の人口を抱えるベトナムは、今回の措置をきっかけにグローバル投資家の注目を集めており、隣接する東南アジア諸国の仮想通貨受容拡大にもポジティブな影響を与える見通しだ。

ベトナム国会は昨年6月、「デジタル技術産業法(Law on Digital Technology Industry)」を通過させ、2026年1月1日に施行を予告した。この法律は、仮想資産と暗号資産を法的に区分して明確に認めたベトナム初の立法事例であり、今後、取引所の運営基準、投資家保護装置、マネーロンダリング防止(AML)およびサイバーセキュリティなど、デジタル資産全般に対する規制体系を整えるための法的基盤を用意した。

これに先立ち、ベトナム財務省は2025年3月から国家主導のデジタル資産取引所の試験運用を開始すると発表した。これは、アジア諸国では珍しい政府主導の取引所モデルであり、今後、正式認可制を通じた民間参加拡大の可能性も見えてくる。 また、ベトナムはグローバルマネーロンダリング防止基準であるFATFの勧告を受け入れてKYC・AML体系を構築し、デジタル資産産業を制度圏内に組み込む方針だ。

専門家は、ベトナムが今後、シンガポール、タイとともに東南アジアのデジタル資産産業の中核拠点として浮上する可能性が高いと評価している。明確な規制基盤、若くて技術に優しい人口構造、政府の政策的意志などが結合して、グローバルデジタル金融生態系におけるベトナムの存在感が急速に高まっているという分析だ。

ベトナム政府は今後、デジタル資産税制の導入、外国人投資ガイドライン、産業振興インセンティブなどを順次公開する予定であり、これにより、国内外の企業の進出の動きも本格化するとみられる。

あるブロックチェーン業界関係者は、「ベトナムは単純な新興市場を超え、実質的なデジタル金融革新の実験場であり、東南アジア市場進出の前進基地として注目されている」とし、「ベトナムで展開される制度整備と生態系拡大は、全世界の仮想通貨産業にも大きな影響を与えるだろう」と展望した。
2025/07/10 11:55
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