ドナルド・トランプ米大統領一家の暗号資産「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial:WLFI)」とステーブルコイン「USD1」が、アップビットをはじめとする国内外の主要取引所に上場される中、トランプ一家は仮想通貨事業を全方位的に拡大している。

現在トランプ一家は、DeFi(分散型金融)プロジェクト「WLFI」をはじめ、トランプミームコイン、ビットコイン採掘企業「アメリカン・ビットコイン」に至るまで、様々な仮想通貨関連分野で事業を展開中だ。

▼トランプ一家WLFIトークン保有分だけで7兆ウォン相当…ステーブルコインも快進撃

1日、バイナンスなど主要取引所で取引を開始したWLFIトークンは、わずか1日で上場価格比20%程度下落した価格で取引された。

上場価格比で価格が下落した背景には、事前販売分がダンピング(大量売却)されるのではないかという懸念が影響した。トランプ一家の保有分が過度に多いという論争も下落幅を拡大させた。

ウォールストリートジャーナル(WSJ)によると、トランプ一家が保有するWLFIの価値は50億ドル(約7380億円)規模と推定される。上場前には価値を算定できなかったが、WLFIトークンの取引開始により価値推定が可能となった。WLFI発行量1000億個のうち22.5%にあたる225億個は、トランプ家系列会社「DT Marks DeFi LLC」に割り当てられている。

WLFIのドル連動ステーブルコインUSD1も、主要取引所に上場後、時価総額基準で世界5位圏のステーブルコインに成長している。トランプ一家はDeFiやステーブルコインなどで発生するWLFIプラットフォーム収益の75%を取得できる権限を有する。USD1が成長するほど、トランプ一家が保有する仮想資産の規模も拡大することになる。


▼ミームコインからビットコイン採掘まで…仮想通貨全分野で事業展開ビットコインETF

トランプ一家の仮想資産事業はWLFIだけではない。国内主要取引所で活発に取引されているトランプミームコイン「オフィシャルトランプ(TRUMP)」も大統領一家が推進する代表的な仮想資産事業だ。ファーストレディのメラニア夫人もミームコインを発行したことがある。

CBSなど海外メディアは、5月末にトランプ大統領が今年1月に「オフィシャル・トランプ」を発行して以降、ミームコインの収益だけで3億2000万ドルを稼いだと報じた。

ミームコイン収益の増加には、トランプ大統領との夕食会が大きく影響した。先月5月、トランプ大統領はミームコイン上位保有者220名を夕食会に招待するイベントを開催した。当時、該当保有者らは夕食会参加権を獲得するため、ミームコイン購入に最低1億4000万ドルを支出したと伝えられている。

トランプ一家はこれに留まらず、メディア企業「トランプ・メディア」を通じても暗号資産新事業に乗り出した。トランプ大統領が普段使用するソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」を運営する企業である。

トランプ・メディアは先月26日(現地時間)、トゥルース・ソーシャルとトゥルース・プラスプラットフォームにクリプト・ドットコムの暗号資産クロノス(CRO)をユーティリティトークンとして使用するトークン報酬システムを導入すると発表した。

これに加え、両社は企業買収目的会社(SPAC)であるヨークビルと提携し、「トランプ・メディア・グループ CRO戦略」という名称の合弁会社を設立することにした。

当該法人の目的はクロノストークンの準備金を保有することで、クリプトドットコムが総額10億ドル規模のクロノストークンを出資する。これは発表時点基準でクロノスの総時価総額の19%に相当する規模だ。

トランプ・メディアはクロノス・トークンの使用先を直接確保することでトークン価値を引き上げるとともに、クロノス・トークンを通じて新たな収益源も確保することになる。

トランプ大統領の次男エリック・トランプが主導して設立した企業「アメリカン・ビットコイン」も、トランプ一家の暗号資産事業の一つとして位置づけられる見通しだ。

アメリカン・ビットコインは2日(現地時間)、別の採掘企業グリフォン・デジタルとの合併を通じ、ABTCというティッカーでナスダックに上場した。ドナルド・トランプ・ジュニアとエリック・トランプ兄弟が保有するアメリカン・ビットコインの株式は約18%である。


▼利益相反論争続く…トランプコイン防止法も登場

トランプ一家が事実上、暗号資産の全分野で事業を試みていることから、利益相反論争は絶えない見通しだ。

コインテレグラフは「トランプ一家のDeFiプロジェクトはもちろん、ビットコイン採掘事業も議会内の批判の対象となっている」とし、「大統領の暗号資産関連の利害関係が政府政策に影響を与える可能性があるという懸念が提起されている」と説明した。

大統領一家の私益追求を防止するための法案も提出されている。先月5月、下院金融サービス委員会のマキシン・ウォーターズ議員ら民主党議員は、大統領及び直系家族がデジタル資産を通じて私益を得ることを禁止する「トランプコイン私益防止法(Stop Trump in Coin Act)」を提出した。
2025/09/03 11:28
Copyright(C) BlockchainToday bitcoinpost24.com